なにか_a

@matiya_a

映画『カラオケ行こ!』を観た

「爽やかな青春映画」「家族で気軽に観れる」みたいな感想を読むとえっ…………???てなる。否定したいんじゃなくて、そっか普通の人にはそうやって見えるんですね!?的な。

 

 

いや………やばくなかったですか??

 

 

原作は3年前くらいに読んでて、そのときの感想はめちゃくちゃ刺さるっていうよりは普通に「良いね~~」って感じだった。『ファミレス行こ。上』も読みました。和山先生のギャグセンスと独特の空気感が好きなんですけど、今作の主役ふたりの関係性については刺さる人にはとことん刺さるやつだなあくらいのテンションで眺めてたんですよね、今までは………。実写化するのは知ってたけど特に観に行くつもりはなかったのが、なんかすごいらしいと評判を聞いて急遽観に行ったんですけど、

 

 

実写の狂児と聡実くん

綾野剛は本当にすごかった。キャストが発表された時点ではビジュアル的にイメージと違うんだよな~と思っていて。それが、第一声を発した瞬間の表情や声のトーンや、すべてに「狂児だ………!」と衝撃が走って、そこから先はずっと違和感なく狂児にしか見えなかった。

動いているところを見るのは初めてのはずなのに、細かい表情やなんでもない仕草も全部「この人は間違いなくこういうことする」っていう納得感がすごい。原作のまんまコピーではなく、彼にしか演じることのできない独自の人物像で、なおかつ狂児以上に狂児というか……。

 

あの胡散臭い笑顔と聡実くんにダル絡みするところが個人的にツボで、「聡実くん肘、肘聡実ひじさとみ~」の意味わかんなさとダブルピースが好きです。

 

あんなにしつこく寄ってくるくせに肝心なことは何も教えてくれなくて、ある日突然ふらっといなくなってしまいそうな。絶対この人に関わり続けたらよくないって分かってるのにどうしようもなく惹かれてしまう、そういう説得力がすごい。

 

 

 

そして聡実くんもすごくよかった……。あれはかわいがりたくなるよね。原作だと可愛げないところがかわいいみたいな感じだけど、映画版の聡実くんはもう少し等身大の繊細な危うさが出ていて、クラスメイトや家族といるときのの空気感とか、モノローグはなくても今心の中でいろんなこと思ってるんだろうな……と伝わってくるのが絶妙だった。

 

狂児にからかわれて本音をぶちまけるシーンがすごく印象的で、ああこういう子だったんだと思った。言いたいことがあっても「そうじゃないんだけど反論してもな……」と俯瞰で判断してのみこんじゃうタイプで、大人びててさめてるように周りからは見られる。でも本当は合唱にすべてを懸けてきたという強い思いがあって、それを失うかもしれないことが怖くて、誰にも言えないから苦しいよね……わかるよ……。スマホの待ち受けが合唱部の集合写真なことにまた胸がキュッとなった。

 

 

 

組の人たちに怯えて狂児の腕にしがみつくところ意味わかんないくらいかわいかったな……。あとその場面でオレンジジュースに全然手を付けていないのを見せてからの、二人きりのカラオケ練習会では狂児の歌の最中に容赦なくジュース飲んでチャーハン食べてるって描写によさが詰まっている。

 

曲目リストを説明するときに初めて自分から近寄っていくのがかわいいし、それに対して狂児が「おっ?」って顔してから曲目リストではなく聡実くんをずーーっと(本当に長い間)見つめてて…………しかも聡実くんは気付いていない。本人を前にするとふざけたりはぐらかしたりするのに、本人に見えないところでいとおしそうな表情するんだよな、この人………。

 

 

聡実くんの歌

原作の感傷的にならず淡々と進んでいく独特の雰囲気が私は好きなんだけど、この映画は「青春時代の終わり」という要素が繰り返し強調されていて。わかりやすくエモさを出してくる演出なのでその辺りはちょっと違うなと思いつつ、しかしそういうテーマをバーンと出されるとやっぱり刺さる。卒業とともに映画を見る部は廃部になり、聡実くんのソプラノが失われ、ミナミ銀座が消え狂児が去る。巻き戻せないビデオテープとは二度と戻らない日々のことで。

 

ボーイソプラノの少年の変声期というモチーフ、少年から大人に変わっていくときの揺れる心とか、終わりが近づいているのを感じながら今あるもの全部を振り絞ってパフォーマンスをするというテーマが自分はものすごく好きだったのを思い出した。鎌谷悠希先生の『少年ノート』という作品が好きなんですよね……。

 

 

ももちゃん先生が口癖のように(というか困ったときに)言う「歌は愛やで」は、まさに聡実くんの「紅」なんですよね。声が掠れても高音が届かなくても、綺麗じゃなくても、あの歌が一番よかった。本当にすごかった……歌っているあいだに声がどんどん出なくなっていくのが痛いくらいに分かって、少年期の終わりを燃やし尽くすような、人生でたった一回きりの歌、それが表現できてしまうんだな……。あの歌を聴くことができたっていうのはすごい体験だった。そしてドアの前で聡実くんの歌を聴いている狂児の表情、それを愛と呼んでもいいですか。

 

 

***

 

聡実くんは狂児にだけ心を許してしまっているけど、狂児はやっぱり別の世界の人間で、ヤクザと中学生という二人の関係ってかなり危うい。本来なら人生が交わることはなかったはずなのに、出会ってしまったが最後忘れようにも忘れられない。

 

原作の再構成がうまかったこと、生身の人間が演じていること(素晴らしい演技だった)、たぶんそういうのが作用して、私の場合初めて原作の『カラオケ行こ!』という作品を本当の意味で理解できた気がします。なんなら「青春」要素が強調されたことが、作品全体に爽やかさを加えているんだけど、同時にそんな青春の中にある二人の関係の異質さが際立っているようにも感じた。心温まる友情なんてものじゃない、もっと強烈な……。「紅」はふたりのイメソンだったのか……とも初めて思った。

 

 

 

原作の名刺を見つけるところが好きだったから、都合上難しいとはいえ演出が変わっていたのは少し寂しかった。で、今読み返していたら真っ赤ないちご……以前の私はどんだけ読み落としていたんだってなったよ。そして『ファミレス~』の聡実くんが消したいもの。もう、どうしたらいいんですか……

 

2023年ふりかえり(舞台・美術展など)

1~9月は毎月なにかしら観劇してたんだけど、それ以降は劇場に足を運んでおらず(見たい公演はチケットが取れなかったり飛んだりした)1月も観劇の予定がなく、なんとも微妙な気持ちで年末を過ごしている……。

しかし思い返すと素敵な体験をたくさんしていて、今年もかなり濃い1年だったなと思います。いきなりテンション低めの書き出しになってしまった!去年の振り返り記事くらいのノリで、特によかった・印象に残っているものについて書いていきます。

去年の→ 2022年よかったもの振り返り - なにか_a (hatenablog.com)

 

 

花組うたかたの恋/ENCHANTEMENT」

うたかたの恋」については前に感想記事を書いてるんですが、最終的にはこのときと全く違う印象の作品になってたんですよね……最後の数日間での変化が凄かった。

 

今回の再演で追加された政治的背景だったりルドルフの闇といった要素はもちろん重要なんだけど、やっぱり一番のテーマは「恋」で。公演を重ねるごとに毎回それぞれの演じ方が変わっていて、悲痛さが強い回もあったし病んでて闇が深い回もあった(それはそれでめちゃくちゃ好きだった)。そうやって試行錯誤しながら作品を突き詰めて突き詰めて、削ぎ落して、行きついた先にあったのはただ純粋な恋と愛だった。ラストの白い衣装で踊るふたりを見て、これがこの恋の結末だったんだなと心から納得できた。

マリーは何も知らない少女でも、すべてを受け止める聖母でもなく、一人の人としてルドルフを愛したから、自分の意志で選んだんだなあ……。死ぬということの恐ろしさを感じているけど、それでも最後まで一緒にいたかった。あなたと一緒ならこわくないって自分に言い聞かせて、寝室の場面ではもうふたりともぼろぼろ泣いていて……。

ショーの「ENCHANTEMENT」は本当に華やかで綺麗で、これはオタクの願望の具現化……?というのが次々出てきて(いろんな意味で)最初から最後まで夢のようなショーでした。さまざまなジャンルのダンスシーンがあって、場面によって優雅なダンスもあれば抜け感と遊び心があったり、セクシーだったり、感情を爆発させていたり、どれも素晴らしかった。あと出てくる人出てくる人美しすぎてそんなことある??

3/5の柚香さんお誕生日公演では組子たちからアドリブでこれでもか!!と祝われ、客席も幸せな雰囲気に包まれていて、好きな人が周りの人たちに愛されてるってめちゃくちゃ幸せなことだね……。

 

雪組「BONNIE&CLYDE」

まずストーリーがとても面白かったのと、舞台上の隅々まで演者の熱量がすごかった!特にトップコンビの持ち味によくはまってて、対等にぶつかり合ってエネルギーが爆発する感じがすごく魅力的でした。

作中で描かれるボニーとクライドの刹那的な生きざまは格好よくもあり痛々しくもある。苦しさ、怒り、高揚感、満たされなさ、いろんな感情が渦巻いてて、綺麗なだけじゃない人間のリアルみたいな。でもその生々しさこそが魅力的だった。彼らがやったことって絶対真似したら駄目な犯罪なんだけど、ままならない世の中で細々と生きてる私たちからしたら爽快だし憧れに近い気持ちも抱いてしまう……。

名シーンがたくさんあったけど、その中でもボニーとブランチの「愛は選べない」のデュエットがとても印象に残っています。娘役と娘役が感情ぶつけ合ってデュエット歌うのって珍しいけどもっと見てみたいな。

 

花組「二人だけの戦場」

脚本がなかなか見ないくらい素晴らしくて、そして本当に名演でした。こんな芝居ができるんだと衝撃を受けた。演じているというよりもその人物としてリアルな人生を生きているみたいで、芝居ということを忘れて作品世界にのめりこんで観るような感覚だった。

この公演があったのが5月上旬で、今いろんなことを思うけど……自分たちの国を持ちたいという感覚って私たちには想像がつかない部分があるし、相手のことを思いやっているつもりでも無意識の傲慢や無理解があるかもしれない。一方を助けることがそのまま一方を傷つけることになる。何が正しいかわからないし何もできないかもしれないけど、考えることをやめたくはないって思う。「二人だけの」はティエリーとライラのことでもあり、ティエリーとクリフォード、ハウザーとシュトロゼック、シュトロゼックとアルヴァ……挙げるときりがないけど無数の「二人」がいて、それぞれに互いにしか分からない戦いがあるということなのかな。

 

明日がどうなるか分からないシビアな状況の中で二人は出会い惹かれあっていく。それを戦争に引き裂かれた悲劇という描き方をしないところが私は好きで、そういう状況下でも人を好きになったり、友人と笑いあったりする、人間の”人間らしさ”へのあたたかいまなざし。ティエリーとライラの恋は丁寧に描かれていて、本当に純粋でまっすぐでみずみずしい恋だった、ラストシーンがまた素敵でさ……。押しつけがましくなくさらっとした、でも深い愛のある結末なんだよね。

 

花組「鴛鴦歌合戦/GRAND MIRAGE!」

「鴛鴦(おしどり)歌合戦」肩の力を抜いて観られる、悪人のいないハッピー時代劇コメディ。たくさん笑ったな~!登場人物がほぼ全員様子がおかしくてずーっとたわいもないことをしてるんですが、主人公だけがほんのり影のある二枚目で存在がひたすら格好いい。でも最後にほろっとする展開があって。

礼三郎は願っても手に入れられなかったりいつか失ってしまうくらいなら最初から何もいらないことにして生きてきた人なのかもしれない。お春ちゃんと出会えて本当によかったね……でも周りの人々もみんなあなたを愛してるから大丈夫だよ。「誰だって、いつだって幸せになっていいのよ!」10月の大千秋楽を配信で観ていて、大団円の場面でみんな泣きながら笑っていた光景をずっと覚えてる。

 

「GRAND MIRAGE!」シーボーネー!!(声に出して言いたい)どの場面も選べないくらい好きでした。トップコンビで組んで踊る場面がたくさんあってそれも本当にうれしかった。いつか観劇したときにフィナーレのデュエダンでめちゃくちゃ泣いた回があって、それまでもこのふたりのダンスは本当に特別で素敵だって、ずっと思ってたけど、泣いたのは初めてだったので自分でもびっくりした。その後退団発表があって、ものすごくショックだったけどどこかでやっぱり……みたいな……そういう心の結びつきとか、愛が目に見える奇跡みたいなことって本当にあるんだよ。

 

阪急×ちいかわコラボやってて規模がすごかった。三番街の至るところにちいかわが…

 

花組「BE SHINING!!」

現地には行けなかったから配信とライビュで観ました。すーーーーっごい満足度!!

コンサートだけどショーでもあったし、過去の公演のメドレーやミュージカルメドレーは芝居を見たような濃密さがあって、本当にすごかった……同じ衣装とメイクなのに曲が切り替わるごとに一瞬で表情も立ち方も変わって、次々と人格を変えて歌っていくのが圧巻だった。特にやっぱりエリザベートはよかったなあ……初めて見るタイプの人物造形で、これを見てしまうと本公演でエリザやってほしかった……!!

ショー主題歌メドレーは否応なくテンション上がって楽しい!J-POPの曲もいくつか歌っていて、「プレイバック Part2」が本当によかったですね……。個人的に百恵ちゃん好きだし、曲も衣装もめちゃくちゃ似合っててただただ私得な時間だった。

パフォーマンスも素晴らしかったし出演メンバーの楽しそうで和気あいあいとした雰囲気が伝わってきてほっこりした!とにかく愛があふれていて最高の公演でした。

 

こっからは美術展の話!

大阪の日本画(大阪中之島美術館)

中之島美術館に初めて行った!

これまで割と西洋画ばかり見てきたけど、日本画の繊細さや美人画の女性ってすごく好きだな……と気づいて最近興味を持っています。島成園が全体的にとても好きなのと、《殉教者の娘》(三露千鈴)という絵がすごく印象に残った。女性画家が活躍していたことも知らなかったので、このあたりの作品はこれからアンテナ張っていきたい。というところで今度「女性画家たちの大阪」展に行きたい!

 

エゴン・シーレ展(東京都美術館

エゴン・シーレの作品をじっくりと見るのは初めてでした。

実は花組観劇のためかなり余裕をもって東京駅に着いたらたまたまポスターを見て、午後公演だし行けるぞ!ってことで急遽行ったという経緯がありました。この日上野では春の音楽祭をやっていて、駅でショパンを弾いてる人がいたり文化会館前ではサックス四重奏のグループが演奏していて、小雨が降るなか桜が例年より早く咲いていてこんな素敵な場所ってある……!?とこの時点で最高だった。

昔はシーレの絵ってちょっと生々しくて怖い印象だったけど今は不思議と親しみを覚えるというか、裸体の自画像や女性のスケッチもいやな感じはしなくてすっと自分の中に入ってきた。一見グロテスクにも思える身体の造形も、ベースにすごく正確な人体構造の理解があるんだなって分かりました。官能的だったり翳りのあるような作品が多い中でひとつだけ、妻を描いた優しいタッチの絵がとても心に残って、彼女がこの人にとっての小さな青い花だったのかもしれない。

同時代のウィーン分離派の芸術家たちの作品もまとまって展示されていてそのあたりも満足度高かった。個人的にコロマン・モーザーのキンセンカの絵が鮮やかですごく印象的だった!ポスターデザインの人というイメージだったけどこんな素敵な絵も描いていたんだな~。

 

テート美術館展 光(国立新美術館

テート美術館展、楽しみにしていたけど前半は人が多すぎて落ち着いて見られずいくらかスルーしてしまったのが心残りで……。でも後半の現代美術のゾーンは多種多様な作品があって、特に《レイマー、ブルー》(ジェームズ・タレル)というインスタレーションがすごく面白かった。真っ青な光で満たされた部屋の中に入ると最初はうわ青っ!ってなるんだけど、だんだん自分の輪郭が空間に溶けていくような、頭でいろいろ考えていたのがすーっと静かになるような感覚で、ずっとそこにいてしまいそう……。

他に絵画や写真作品もたくさん展示されていたけど、ターナーのアカデミーでの講義資料で、光が差し込んだ時に部屋の中にどんな影ができるかというのを細かく解説した図があってすごかった。もはやおそろしかった、全部理論なんだ……神絵師って……。

《星くずの素粒子》(オラファー・エリアソン

作品自体もすごく綺麗だったけど作品解説が好きだった。抜粋して引用させてもらいます。

”宇宙の広がりと儚さ、その中で私たちの居場所を探る方法としての光” 

”半透明の作品はミラーボールのように回転して輝き、その光は拡大された星くずの素粒子、もしくは爆発した星の残骸のような模様を壁に映し出します。スポットライトは作品を照らし、展示室内やそこを通り過ぎる観客に複雑で幾何学的な影を落とすのです。”

 

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こうして並べてみると結構いろんなものを見たんだな~!5月に長崎旅行したのもすごくよかったです。長崎旅行の記録 - なにか_a (hatenablog.com) 

今年は特によく観劇したけど来年はどうなるかまったく未知数……とりあえず2~5月の退団公演は腹くくって通います。その後は本当にわからん!!1年後の自分がどんな気持ちでいるのか全く想像がつかない。

2024年はいろんなことが良い方向に向かっていってほしい。好きな人にはやっぱり一番幸せでいてほしいし、みんな幸せであってほしい。舞台の出演者だけでなく裏方のスタッフさん含め、誰もが安心して舞台に取り組める環境になることを願ってます。

 

花を見た年でもありました。来年もたくさん見たい!



最近観たもの読んだもの

ここ数か月で観たものや読んだもの、感じたこと、あと今の気持ちの整理。数か月といいつつ去年読んだ本の感想なんかも入ってます。

まだちょっと正気に戻ると苦しいので、本や漫画を読んだり甲子園を気まぐれに見たりこういうものを書いて気を紛らわせてる……推しの卒業発表ってこういう感覚だったんだねみんな(世界中のあらゆるジャンルの推しがいる人)……!!

 

 

舞台

雪組 BONNIE&CLYDE

今年2月に名古屋の御園座で公演していたのを観に行きました。

実在のギャングカップルを元ネタにしたブロードウェイミュージカルで、いやーーめちゃくちゃ面白かった……!楽曲も脚本もよくて、演者もよく合ってて熱演ですごい良作を見た

これに関しては新しく文章を練るよりも見た直後のツイートの方がよっぽど説得力あるな

彩風咲奈さんが演じるクライド、夢白あやちゃんが演じるボニーがとてもとても魅力的で……特にボニーにすっかり虜にされちゃって……

共犯者になりたくないって最初怒ってたのにどんどん歯止めが利かなくなって犯罪の道にのめりこんでいく姿から目が離せない。それでも年相応のキュートな女の子なところがずっと変わらず残ってて、そのギャップがめちゃくちゃよかった。有名人となったボニーが強盗中にサインを求められて舞い上がっちゃう場面がかわいい。

 

客観的に見たら壮絶で悲惨な終わりを迎えるんだけど、傷だらけの体を引きずってふたりで車に乗り込んで、「死ぬこともそう悪くはないわ 残されるのは嫌だけど」って静かに笑うラストシーン。

日々いろんな些細なことに頭を悩ませ、時間と金に縛られ細々と生きている現代社会の私たちからすると、今この瞬間のためだけに生きてるキャラクターたちがすごく眩しい……

 

雪組 Lilacの夢路/ジュエル・ド・パリ!!

宝塚大劇場公演、これはね……芝居の方は脚本がいろんな要素を詰め込んだ結果どれも消化不良みたいな……

まずドイツに鉄道を開通するプロジェクトの話をしてたと思うんだけどラストで鉄道開通までいかずレールを敷いて終わったのよ。カタルシスがないよ!「資金がない……どうしよう……」→「株式を発行しよう!」「株式?」「株式とは~(以下解説)」って社会科の授業を見に来てるんじゃないんだよ。

実は血がつながってましたーで合流する隠し子もあっさり受け入れる兄弟たちもなんか葛藤とかないの……!?とかいろいろ突っ込みどころが多すぎてもう途中から面白くなってきて逆に楽しく見ました。衣装がおしゃれでかわいかったです。

 

ショーのジュエル・ド・パリはすごくよかったな~~~!飾りなしのシンプルな黒燕尾からの初舞台生ロケット、曲はモン・パリというザ・宝塚、これこれ!こういうのが見たいんだよ~!!中詰ギラギラのラテンも終盤のカンカンも最高。

このショーは次の全国ツアー公演でもやってくれるので、そしてチケットとったのでまた観られるのが楽しみ!私は花組推しなんだけど最近雪組もいいな~と思ってるので今後も見ていきたい所存です。

 

劇団四季 クレイジー・フォー・ユー

ブロードウェイのハッピーコメディミュージカル、演目に惹かれて劇団四季を初観劇しました。

良い音楽と踊りが見れたらいいな~という期待をこめて行ったんだけど予想以上にストーリーもよくて……一幕終わりの「I Got Rythm」のナンバーで、身近な道具を使って自然発生的にみんなで歌って踊るのが素晴らしく、人間の根本にある前向きなエネルギーをじかに感じてぼろぼろ泣いてしまった。

二幕での、一度諦めかけた想いをやっぱり諦めたくない!となったボビーの「Nice Work If You Can Get It」の軽やかなタップダンスも……踊る身体がなによりも雄弁だと思う。最後はみんなくっついて大団円ハッピーエンドで、カーテンコールのボビーとポリーのラブラブで楽しそうな雰囲気がすっごくかわいくて幸せだった……。

 

大満足でした。あと四季の方々身体能力がすげ~~~!しかしどうしても宝塚以外の舞台を見ると宝塚が恋しくなるし、この台詞はきっと彼女ならこういうトーンで言うだろうな、ここはこういう表情をするだろうな……などと浮かんできてしまう……でも気になる作品があれば観に行くのもいいね。

2024年には「黒博物館 ゴーストアンドレディ」を舞台化するって聞いたのでこれは絶対に見たい!!

 

映画

さらば、わが愛 覇王別姫

1993年の香港映画。リバイバル上映をやっていてつい先日観ました。とても良かった。

予告編のリンクを載せておくけど、予告編だけ見た時の印象と実際の印象は結構違ってたなあ……

youtu.be

男と男の関係性に対する多少の下心があって観に行ったんだけど、観終わった後むしろ蝶衣と菊仙の間にある愛と憎しみが刺さりに刺さった。お互いに憎みながらときには母子や姉弟のような愛があり、やさしい時間が生まれるけれど、それはほんの一瞬で基本的にずっと憎んでいる。絶対に分かり合えない二人なのに、最後に蝶衣の京劇に対する思いを誰よりも理解していたのは菊仙だったんですよね。

それまでの価値観がまるごとひっくり返ってしまう激動の時代のなかで懸命に生き、最後まで誇りを貫いて散った蝶衣と菊仙、時代の変化に適応できなかっただけというにはあまりにもむごい……それに比べて小楼はどうしようもなく小さい人間に思えてしまう。でもこの小楼という男を二人とも愛したんだよね……。

 

文革と ”自己批判” のシーンは本当にえぐかった……。序盤の小癩の自死共産主義運動に傾倒していく小四、それぞれの人生の選択がなんともいえず、誰が彼らのことを愚かだといえるんだろう。

京劇のグロテスクさと裏表の美しさ、そしてどれだけ絶望しても狂気の中にあっても、むしろそういうときに一層際立つような蝶衣のうつくしさが凄かった。忘れられない映画体験になりました。

 

本、漫画

三上志乃「ピットスポルム 一葉/二葉」

私とBL的な趣味が合う人はおそらく好きだと思います(私が好きな作品の例:「ボーイミーツマリア」「トーマの心臓」など)つまり私が好きな系統の話ということなんですけど。繊細で誠実で優しくて、とっっってもよかった……。

仮面の下に傷ついた心を隠している小田島と矢野の純粋なまっすぐさ。断ち切ろうとしても断ち切れない思い、執着、恋の苦しさ……まず絵がすごく好みなんですけど、ストーリーも心情描写も繊細で……終盤のとあるページで、相手の顔を見た瞬間に自分の中で凝り固まっていたもの、呪縛やトラウマが一気に氷解していくさまがものすごく美しかった。

上下巻のようになっていて「二」で一旦話は完結するんですけど、今続編が連載されてるので単行本が出るのをすごく楽しみに待っています。

 

遠藤周作「沈黙」

ずっと意識はしていた作品を去年の夏頃ついに読みました。映画化されているけどとても映像では見られないと思う、文章で読んでいてもトラウマになりそうなくらいしんどかった。

信仰とはなんなのか。苦しむ人々を前にして神はなぜ沈黙しているのか。正しいことだと信じてキリスト教の信仰を広めた、その結果人々は棄教を迫られ拷問を受けている、われわれのしたことは本当に正しかったのか?はてしなく重い…………

(まず大前提として拷問する方が間違っているということは忘れちゃいけないと思う。棄教さえすれば助けてやるというのは温情でもなんでもない)

 

ロドリゴの問いはタブーに触れていて、聖職者が神の存在について疑問を抱くなんてとんでもないことなんだけど、でも無条件に神のことを信じている人が本当に正しいんだろうか?もしかしたら疑問を抱く人の方がずっと神について考えているんじゃないかという可能性はないんだろうか……なんて……

ただこれは遠藤周作が自分自身の信仰について問い直しながら書いた結果であって、キリスト教のことを何も知らない人が都合よく「神の沈黙」について持ち出すのは違うんじゃないかと思う……と書いている私も部外者だから何も知らないんですよ。うーん難しい……

 

今村夏子「むらさきのスカートの女」

文庫版が出たら読もうとずっと思っていた。<むらさきのスカートの女>をただひたすらに淡々と見つめ続ける<わたし>、読んでいるとだんだん<わたし>の異様さが増していって、異様な存在のように見えていた<むらさきのスカートの女>はだんだんなんということはない人に見えてくるんだけど……

読んだ直後にこんなことを書いていたらしい。価値観の根本を揺さぶられるような感覚が面白かった

巻末に収録されている芥川賞受賞記念エッセイがまたすごくおもしろいんですよね。自分の書いた文章が気持ち悪いから家に自分の本を置いていないとか、テレビで自分の本を取り上げているのを見たくないとか……。作家ってみんな自分の文章が好きで見せたいから本を書いてるんだと思ってたよ。

 

村上春樹神の子どもたちはみな踊る」「一人称単数」

村上春樹と気が合うかというとそうではないんだけど読んでいて面白い。

意識高いとかって揶揄する風潮があって敬遠してたんだけど(こういう人多いだろうけどあまりよくないよね、せめて自分で読んでから判断しよって思いました、自戒)短編だったらときどき手に取ってみようかなと思ってます。長編は「色彩を持たない多崎つくる~」を読んだけどわかるようなわからないような、なる……ほど……という感じで私にはまだ少し早かったのかもしれない。

この短編集2作はどちらもいいなと思いました。特に「一人称単数」が全体的に好感触で、その中でも「ヤクルト・スワローズ詩集」は少しテイストが違っていて、村上春樹という人のことを身近に感じるようで面白かった。

 

 

柚香光さんのこと

退団、と文字を打っていても、これが現実ですでに決まったことだと理性では分かっているんだけど、まだどこか現実だと受け止めることを脳が拒否しているような感覚がある。いつか必ずその日が来ることは分かっていたのに、それでいいと思っていたのに、いざ知らされてみるとこんなに苦しいのかと……みんなこういうのを乗り越えてきたんですか……!?

3日経って記者会見の写真やインタビューを読んだりして、今は少し落ち着いて前を向き始めているけど、最初は本当に胸が苦しくて食事ものどを通らないくらいだった。3次元の人を本気で「推す」というのが私は初めてだったので、この胸の痛みもこのひとをこんなに好きな証だから今のうちに味わっておこう……みたいな現実逃避混じりの謎のテンションにもなった。

*

2020年9月5日「はいからさんが通る」大劇場千秋楽、配信で見ていたこの公演の衝撃をずっと覚えてる。こんなにも感情が迸る芝居があることを初めて知って、舞台の上で身を削りながら輝く姿に目を奪われて、カテコの挨拶で涙を流しながら語っていた言葉を聞いて絶対にこの人についていこうと思った。

それから本当にありがたいことに何回も主演の舞台を見させてもらって、見るたびにどんどん輝きを増していって、魂が震えるような瞬間が何度もあって……。

 

あるとき彼女が「舞台に生かされている」というワードを発して私はすっっっごい衝撃を受けた。まず天堂真矢!!と思いました。リアルで全くの本心からこれを口にする人がいるんだ。

また別のときに「どれだけやっても命果てることはないでしょうから」とさらりと言っていたのがものすごく印象に残ってる。そのストイックな覚悟も、悲壮感というよりはどこまでも舞台が好き!という気持ちから生まれているように見ていて感じるんですよね。

 

実際には苦しいこともきっとたくさんあったと思うけど、いつ見ても舞台に立てる喜び、舞台が好きだという気持ちが全身からあふれているようで、そんなところがすごく好きです。

繊細な感受性、芸術的センスと聡明さ、軽やかでしなやかであたたかい人。

公式プロフィールの「好きだった役」の欄を毎年律儀に更新して文字数の上限ぎっちぎちに役名を並べているところも好きです。

*

これまで3年と数か月彼女を追いかけ続け見てきた中で好きな公演がいくつもあって、どれも思い出深いけど「巡礼の年」はテーマといい演じていた役の人物像といい特にささったなあ。

2022年よかったもの振り返り - なにか_a (hatenablog.com)

↑今読むとこんなこと書いてたんか……と新鮮な気持ちになる。新鮮にわかる~~と思ってしまう、自分で自分に解釈一致してる

 

退団(←深呼吸しながらこの文字を打ってる)の時期が近いことはなんとなく察していたけど早くて次々回作だと勝手に思っていた。近いとはいえまだでしょってね……

でもこの2~3週間の公演を見ていたら、これはもしかして覚悟しないといけないんじゃ……みたいな感覚があったんですよね、後出しじゃんけんのようなことを言ってる自覚はあるけど……というか気のせいだと思いたかったよ。

デュエットダンスを見ていて途中からボロ泣きしてしまった回があった。踊っているふたりが本当に本当に美しくて、互いを見つめる表情があまりにも幸せそうで切なくて苦しくてこんなに愛しあっているんだと思った。

 

 

長崎旅行の記録

今年のGWに2泊3日で長崎旅行に行ってきました!

前から長崎行ってみたいなー教会巡りとかしてみたい、となんとなく思っていたのですがなかなかタイミングがなく……ちょっとしたきっかけがあって去年の夏ごろに勢いでチケットとってしまったのですが無事行けてよかった~

大浦天主堂

(以下、旅行中のメモを元に書いてて裏付けとかは取ってないので事実関係が多少違っても許してください)

聖堂本体も素敵だったけど資料館がかなり充実してました。多分聖堂だけ見て帰っちゃう人も多いんだけど絶対資料館も見るべき……。キリシタン弾圧といえば江戸時代で開国とともに終わったようなイメージがあったけど、実際には宣教師が来たり教会が建てられた後の明治初期まで迫害が続いていた。「牢屋の窄」の展示が結構ショッキングだった

聖堂内の各エリア?(なんて言ったらいいんだろ?)や装飾にどういう意味が込められているかということも説明されていて、こういう展示を見た後にもう一回聖堂の中を見るとまた違って見えてよかったです。

 

平和公園・爆心地公園、浦上天主堂

浦上はちょっと距離があるので当初行く予定はなかったんだけど、大浦天主堂でいろいろ見ていたらこっちもいかなければならない…という気持ちになり

ならばすぐそこにある平和公園と爆心地公園も行こうということになり…

後ろから見ることはあんまりないよねっていう写真。手前の道には各国から寄贈されたモニュメントが並んでいて、中にはソ連から寄贈されたものもあったり…「母親が子供を抱いた姿で、愛とともに平和を表現しています」

日本人観光客はそんなにいなくて外国人グループが多かったのも印象的だった

 

平和公園から浦上天主堂へはそれなりに歩く必要があるけど直で行ける。「天主堂の見える丘」ってエモいな……

 

 

外で子供たちが写生大会しててだいぶ賑やかだったけど、中に入ると薄暗くてしんと静かで祈りの空間という感じがした。大浦天主堂は割と観光名所っぽい雰囲気なんだけど(ミサもやってるとは思うけど)こっちは明らかに地元の人々の教会という雰囲気。ステンドグラス、被爆マリア像などが印象に残った

 

5月と思えないくらい暑すぎて日差しもやばくて長崎駅に戻ってから一旦休憩。フルーツサンド美味しかった~~

 

中町カトリック教会

ネコチャン…

 

長崎駅の近くにあると知って行ってみたかった教会。もともと蔵屋敷だったところに教会を建てたそうで塀が日本!って感じ

ここも現役で使われている教会で、敷地内には幼稚園もありそっとお邪魔しました

外観は白で統一されていて、聖堂の中もやわらかい雰囲気でとても美しい教会だった…
(聖堂内で撮った写真は商用利用不可とは書かれていて撮影禁止ではないのかなって…問題があったら消します)

 

鍋冠山からの夜景

長崎の夜景といえば稲佐山の方が規模が大きくて、立派な展望台やレストランもあって人気スポットなんですが、すごい混むらしいというのと場所的に遠かったので、市街地にある鍋冠山に行ってきました。エレベーターで途中まで登ってから残りを徒歩で登山するというルートで、親切な方が個人ブログに行き方を細かく記載してくださっていたので完全にそれ頼みで行きました

途中にあったグラバー園、閉園時間間際だったのでサーっと見て回った

ここまではエレベーターで来れてあとはひたすら歩く!!

ちゃんと整備されてるし看板に従っていけば迷うことなくたどり着けるんですけど、まあまあハードだし日が暮れてからの帰り道がかなり不安だったのでやっぱり歩きで来る用の場所じゃないな…と思いました

到着!展望台以外は本当になにもない!

ブルーアワーが見たかったのでここから1時間半くらいひたすら日が暮れていく景色を見ていました。ここまで怒涛の移動だったけど山の上は涼しくていい感じにクールダウンできて、たまにはこういう何もしない時間があるっていうのもいいな…あと同じく夜景待ちでスタンバイしている何人かの方と勝手に連帯感を感じていた…

 

時間経過で同じ場所から撮影しました。

この景色の移り変わりすごいよくないですか!!!

完全に日が暮れる前に急いで帰りました。夜景を見る人たち、いい風景だなあ……

 

島原

2日目は鉄道に乗って島原へ行きました。

西九州新幹線かもめだ~~!!N700Sだ!(いつも使ってる東海道新幹線ではN700Sに乗れるかどうかで運試しをしてる人)

長崎→諫早まで鈍行だと約45分かかるのをこれに乗ると8分で行ける。たった8分のために乗るってすごい贅沢だけど新幹線開通してくれてよかった……

諫早からは島原鉄道に乗って約1時間、さらに島原駅から路線バスで原城跡まで約1時間…

ずっと海沿いを走っていて天気も良くて、車窓からの景色がめちゃくちゃ綺麗だった。海なし県出身なので海があるってそれだけで別世界のように感じる。こんもりした雲仙普賢岳を見ながら溶岩の粘りが強い火山…小学校で習ったやつだ…と感動していた

 

原城

日本のザ・城というイメージより中世ヨーロッパの砦みたいな、この地形一帯が原城だったんだな。思っていたよりずっと広かった。あまり語れる言葉がないんだけど実際に足を運んでよかったなと……潮風が吹く綺麗な場所だった

 

有馬キリシタン遺産記念館

コンパクトだけど内容が濃く充実していて、日本へのキリスト教伝来から発展まで/弾圧の始まりから島原の乱まで、の大きく二つに分けて解説されていた。天正遣欧使節島原の乱って授業で習っただけだと別々に出てきてあまりつながらない気がするんだけど、有馬・島原の地でとくにキリスト教が発展して、そこから一揆が起こるまで地続きの歴史だったんだなあ…とよく分かりました。

原城跡から発掘された瓦礫と人骨の出土状況を再現した模型がすごくインパクトがあった。一揆のいきさつとその後の処理の壮絶さ……島原天草の乱については正義vs悪みたいな単純構造ではなくフラットな視点で解説されていたのが少し意外でもあり良かった。参加した人々も一枚岩というわけではなくさまざまな立場や目的の人がいて、キリシタンとしての度合いも実際は人によって違っていたし、妻や子供を脅されて一揆に加わった人もいたとか……

 

小中学校で習った時点では表向きキリシタンじゃないふりしてこっそり信仰すればいいんじゃないとか踏み絵だって殺されるくらいなら踏んでいいんじゃないの、という話になるしいやそういう問題じゃないんだよ、って言われてなんとなくそうなのかな~みたいな認識で、なかなか実感としては理解できなかったけど、最近なんとなくわかってきたような気がする。これは何かに例えて説明するようなものでもないような、自分の存在そのものにかかわる話というか。自分の本心と違うことを言うのってそうする「ふり」のつもりでいても確実に何かが欠けていくような……

私はクリスチャンじゃないのでもしかしたら的外れなことを言ってるかもしれない。今改めて考えると自分と違う価値観に触れたり、そういう人々が何を考えて生きたのか感じたいと思って私はこのあたりに興味を持ってるのかもなーー。

 

南島原市のPR動画で満島ひかりちゃんが天草四郎に扮してるのめちゃめちゃ良いので見てほしい。ちょっと様子がおかしい美少年。それと今回行けなかったけど島原城にはCV石田彰天草四郎がいるらしいです

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長崎県美術館

3日目はのんびり過ごしました。

長崎県美術館、とても隈研吾を感じる建築

国立西洋美術館 スペインのイメージ」スペインの版画を扱った企画展でした。西洋の中でも少し特殊な立ち位置にあったスペインという「異国」への憧れあるいは偏見……闘牛、情熱や土の香り、誇張されたスペインの女=マハのステレオタイプ、そこからスペイン人画家による作品、リアルなスペインの人々や風景を描いた作品などなど、とてもよかった……。

撮影可の中でとても好きだったのがこの作品。

闘牛場の観客席に暴走した牛が突っ込んで人々が逃げ惑っている、現場は狂騒の中にあるはずなのにこの絵からは静寂の印象を受ける。画面右半分と左半分のコントラスト、左半分の誰もいない空間がかつてそこに人がいたことを浮き立たせているような…(多分解説に書かれていたことと私が感じたことが混ざってます)

 

家族向けのイベントが開催されてた。まきまきひだ襟が気になった

ミュージアムカフェ素敵な空間だった!

 

またいつか行く機会があれば、今度は外海のあたりとか五島列島潜伏キリシタン遺産へ行ってみたいな……なかなか難易度は高そうだけど……!

島原の手延べそうめんをお土産に買ったのですがめちゃめちゃ美味しかったです。

 

 

観劇感想!!!!!

 

2023年の初っ端から2ヶ月あまり私が狂っていた宝塚花組公演「うたかたの恋 / ENCHANTEMENT」

この2作品がとにかく楽しみすぎて、期待をこめて必死にチケットを取り観劇予定を入れてたんだけど、その期待をはるかに超える良さで本当にありがとう……以下感想 まあまあ長いです

1月1日初日!

うたかたの恋

古典の名作(※初演は40年前)にアレンジを加えて趣向を変え、ヴェールに包まれた儚い悲恋の美しさではなく、政治的背景や19世紀末という時代のうねり、リアルな人間模様を交えつつ、2人が愛しあい死ぬまで、重くて苦しいけど目が離せない……。
要は心中してしまう話なんだけど、死ぬことは最初に提示されてて、どのようにしてそこへ辿りつくのかをひたすら見つめるような作品。

 

柚香光さん演じる皇太子ルドルフ、憂いを帯びている、どころではなくはじめから明らかに闇を纏っている……。王者の気品とオーラがあって、人といるときはノーブルに振る舞っているけど、誰も見てないときに顔がすっと翳るんですよ。どこにも行けないことをよく分かってて自分の人生を半分諦めてるけど、残りの半分でかすかな希望を求めてる人。国の未来についても考えてるし……でも希望を捨てきれないから余計に苦しいんだなあ……。

そんな中で、太陽の光の中で育った光属性の令嬢マリーと出会ってしまう。この組み合わせの妙……
過去の演出では浮世離れした少女というか、楚々として「あなたについていきます」という、言ってしまえば男から見た理想の女って感じなんだけど、今回の演出と星風まどかちゃんの演じ方は違ってて。何も知らないまま巻き込まれたのではなく、その先に未来がないことも全部分かった上で彼の全てを受け止める。死ぬことの恐ろしさを感じていながら、自分の意志で迷わずついていく。愛しているからそうしたのだと……。


今回追加された新場面で、ルドルフが荒れに荒れて弱りきって、「助けてくれ、お願いだ」って縋り付くんだけどこれはもうシンプルに「「「癖」」」すぎる(脳直感想)

私は柚香光さんの芝居が本当に好きなんだけど、決められた台詞や動作をなぞるんじゃなくて毎回生の感情があって、本当に生きた人間として舞台上に存在してるんですよ。
その中でも特に人間の弱さや痛みの表現がすごい……可哀想に見せたり美化したりしないでとことんリアルに表現するんだけど、それが強烈に美しい……ガラス細工の砕け散る瞬間が一番美しいっていうまさにそれ

いや〜つらいとか哀しいとかめちゃくちゃ感じてるんだけど、その一方で脆くて傷ついて苦しんでる彼女を見てあ〜〜好き……って毎回なってしまうの申し訳ねえ……もちろんご本人には常に健康で幸せでいてほしいけど!!ご飯いっぱい食べて!


「僕はマリーを知ってから、本当に生きることを知った。そして僕らは束の間を充分に生きた」

ほんと死んだらだめなんだけど、死んだら何にもならないよって思うけどそういう言葉は彼らにとってなんの意味も持たないんだよね……もう離れては生きていけなかったんだね……。

綺麗なだけではない、どこか歪で生々しくもあり、だからこそ美しい


今年入ってからはまだ、これと雪組の「BONNIE&CLIDE」しか見てないんですがこの2作品が今年の良作ベスト3(私調べ)に入るのは間違いない……いやボニクラほんとよかった、1回だけの予定だったのによすぎて追いチケした、なのに普通の風邪を引いて2回目断念しました悲しい。円盤買おっか……

 

ENCHANTEMENT

未だに綴りに自信がない。読みは「アンシャントマン」魔法にかけられるという意味だそう

サブタイトルは「華麗なる香水」ということで、「柚香」さんにちなんで古今東西の香水をテーマにしたレヴューっていう!

調香師のレイが魔法の香水を振りかけると世界は薔薇色に輝きはじめ、人々は魅惑の宵へと誘われていく…。

↑作品紹介原文ママ

そんなんもう最高じゃんって演目出たときに思ったし実際最高だった!!!

お芝居がどシリアスだけどショーでは日々の嫌なこともストレスも全部忘れてただただ幸せで満たしてくれます。今の花組、柚香さん筆頭に魅力的なダンサーが多いしシュッとした美形が集まっててほんと目の保養……ダンス凄いんですよ。ショーの間じゅうずーっと美しく華やかなダンスを浴びることができる。

このショーでは各場面ごとに実在の香水がモチーフになってて、また香水というテーマは一貫してるけど場面ごとに全然違うテイストなのが楽しい。例えばシャネルのNo.5ならニューヨークの街角で粋にお洒落に踊り、オリエンタルな香りならチャイナ風といった具合で、チャイナドレスの娘役たちほんとかわいい!美人!!大感謝!!!!

香水をつける仕草がちょいちょい入ってるのも洒落てて色っぽくて素敵。

 

どの場面も本当〜〜〜にいいんだけど私はやっぱりムスク……これだけはいつまで経っても平常心で見られない 

なんか……男達の秘密のクラブ(今どき宝塚以外ではそんな見ることないでしょっていうシチュエーション)(宝塚ではしばしばある)で繰り広げられるすごいマーキング、周囲へのアピール、匂わせ越えて香りに香りまくってる2人の関係、何……?何を見せられているの……

俺とお前 息を切らし 踊る夜 

 

 

全場面語ろうと思えば語れてしまうけど、めちゃくちゃ長くなるので、とにかく最後まで盛りだくさんの好きな要素しかない素晴らしいショーで こんなにいい作品が見られることってなかなかないと思う……ありがとうとしか言えないですね……。

珍しく前方席で観れたときの写真(SS席の端っこだった)

レースカーテンが開いてショーが始まると、真ん中に香水瓶を模した大きいセットがあってそこから登場してくれます。舞台両サイドは香水棚のセットになってるんだけど、出演者やスタッフ1人1人の名前が書かれた香水瓶が飾られてる!愛がすごい!

 

基本日帰りで観劇することが多いけど、泊まりがけで行ったときに初めて中之島美術館に行きました。「大阪の日本画」展、とってもよかった……。来年には「女性画家たちの大阪」展をやるそうなのでそっちも行きたい!

 

時間が空いて神戸北野の異人館や喫茶店を訪れた日もある 満喫してんな!

 

プラトン装飾博物館(イタリア館)ってどんなところか知らなくてたまたま入ったんだけど、所狭しとさまざまな調度品や絵画が飾られていて凄かった!!こんな凄いのにあんまりメジャーじゃないよね?思いがけず満足度が高かった……

 

 

これは東京宝塚劇場。西へ東へ

 

2022年よかったもの振り返り

とても久しぶりのブログ更新です。

いろんな感想をツイッターだけで終わらせずにまとまった文章として書きたいな~~という気持ちは常にあるんだけど、実際に書くとなると結構腰が重くて気付いたら年末になっていた……。

ということで2022年を振り返ってよかったもの・印象に残っているものについて書いていきます。この一年はいろんな体験ができて結構充実していたと思う!おもに観劇(大体宝塚)や美術展などです。

 

 

月組今夜、ロマンス劇場で/FULL SWING!」

年明け早々に観劇とその後にもう1回観ることができました。お正月の宝塚大劇場には初めて行ったけどしめ縄や立派な鏡餅が飾られていてめでたかった!

お芝居は映画原作でストーリーが良かったのと、演技がとても丁寧で素晴らしくて心に沁みる作品だった……。こんなに純粋な愛の形があるのだろうか……そして映画づくりという夢を追いかける人々のまっすぐな情熱がいい。2回目見ると冒頭の看護師たちの会話でもう泣けてくる……あと月組見ると芝居が巧いってこういうことかーーとものすごく実感する。下級生までみんなうまいし緻密にバランスよく作り上げられてる感じ。

ショーは大人な雰囲気の上質なジャズショーだった。本筋と関係ないけどプロローグのハイテンポ裏拍手拍子が難しすぎて客席大混乱だったのはちょっとおもしろかったな……

 

花組「元禄バロックロック/The Fascination!」

2月に東京宝塚劇場で観劇。この演目は昨年末にも複数回観劇してるんですけど何度見てもとにかく華やかで楽しくて、芝居ショーどちらもすごく好きだった!

「元禄~」はエンタメとして文句なしに面白い作品で、東京ではさらに仕上がっていてよかった。ちゃらんぽらんな男とミステリアス美女の戯れかと思いきや実は超純情ラブなのがかわいいし、背中預けあうバディ要素もあり、最後はラブラブカップ爆誕ハッピーエンド。シリアス部分にしてもラブ部分にしても、柚香光さんの感情表現は「演じてます」「見せてます」じゃなくて本当に自然な気持ちが滲み出てそうなっちゃってるように見えるのが本当に沼。

ショーは花組100周年記念の上品で華やかなレビュー。衣装も舞台セットもキラキラしていて美しく、綺麗なダンスを堪能できてひたすら眼福だった! 好きな場面多いんだけどあえて挙げるならピアノファンタジィでのバレエベースののびやかな踊りが幸せだったのと、黒燕尾男役群舞の一糸乱れぬ揃いっぷりが凄かった。

東京宝塚劇場のいらすとや

 

花組「TOP HAT」

ここまでずっと観劇しかしてない。梅田芸術劇場で4月に観劇、2日間にわたって観ることができました。軽快なタップダンスと名曲の数々と、すれ違いドタバタラブコメかつ小粋でお洒落なラブストーリー。この「ドタバタラブコメ」の部分が思いのほかドタバタしてて、ストーリーもそんなに内容がないので最初ちょっと困惑したんだけど、深く考えずアメリカンな世界観に身をゆだねて楽しむのが正解だった。

全編通してダンスが散りばめられてるんだけどどれも本当に素敵で! 心のままに軽やかに踊る「No Strings」や、「Cheek to Cheek」の頬と頬を寄せ合う振付とか……難易度の高いダイナミックなリフトもロマンチックに魅せてくれて、ハスキーで甘い歌声も心地よくて夢を見ているようだった……。今でも「heaven, in heaven…」の歌いだしを聞くとはあ~ってなる。休憩時間や終演後に外に出ると全然踊れないのにタップを踏みたくなってしまって自分でもびっくりした。

あと脇キャラたちが特に意味もなくやたら濃かったのがなんか好きだったな。好きな娘役さんがクセつよかわいいメイドさんを演じていてめっちゃ感謝しました。

梅芸の近くの桜がきれいだった

 

メトロポリタン美術館展(新国立美術館)/国立西洋美術館

5月には日帰りで東京の美術館へ。「メトロポリタン美術館展 ―西洋絵画の500年―」確か西洋絵画をざっくり時代順に見るみたいな感じだったかな。それぞれの作品はもちろんいいんだけど、展覧会としてはそんなに面白みがないかも……というのが個人的な感想だった。国立西洋美術館と似たようなラインナップで、あっちの方がより充実してるので……。といってもここでしか見られない作品も多く、私の中では「ピュグマリオンとガラテア」が印象に残っててこれは絶対みんな好きなやつだと思います。

午後に国立西洋美術館の常設展へ。このときは特別展がなかったから空いてたんだけど、常設展だけでも十分すぎるボリュームだし好きな系統の絵画も多くて大満足でした。基本的に写真撮影可なんですが問題あったら消します。

カルロ・ドルチの「悲しみの聖母」はいつ見ても好き。ドルチの絵画は質感がすごくなめらかでふわっとしていて肌の血色感がいい。

ケースの反射がすごくてうまく撮れないんだけど、一対で展示されているディーリック・バウツの「悲しみの聖母」「荊冠のキリスト」は痛みと悲しみのリアルさがすごくていつも見入ってしまう。

 

花組「巡礼の年/Fashionable Empire

6~7月に複数回観劇しました。

「巡礼の年」フランツ・リストの光と影、ショパンら周辺人物との関係をモチーフにしたオリジナル作品。私これめちゃくちゃ好きでした……。人間の普遍的な悩み・苦しみ、世間からの評価と本当の自分とのギャップ、承認欲求や才能へのコンプレックスなどなど刺さりすぎて苦しい。「何のために音楽を?」はそのまんま「何のために人生を?」で、生きるのってしんどいけど、それでも生き続けてさえいたらそのこと自体に価値があるんじゃないかって、善い生き方、正しい生き方ができなくてもそれでいいんだと……。ラストシーンが本当に美しかった。巡る季節のなかでかつて別れた人々が笑いあい、それぞれの人生を生きているささやかな愛の夢。回を重ねるごとにそれぞれの演じ方の解釈も変わり物語の深みが増していて、どの回も本当によかったんだけど配信で見た東京大千秋楽はすべてが綺麗にはまる瞬間が見えて震えた。この作品に出会えたことが今年の価値だなあというくらいに好きです。

作品自体がよかったけど、演じるというのは自分を隠すというよりむしろさらけ出すことで、役を演じれば演じるほどその人の魂の純粋さが透けて見えるようだと思った。オタクの戯言だと思われるかもしれないけど本当にそう見えるんですよ。

「Fashionable Empire」ファッショナブルとは……? どっちかというと元気いっぱい帝国です。でもすごく愛が詰まっていてなんだかんだ愛おしい作品だったなあ。

劇場周辺の紫陽花が綺麗で行くたびに観察してました。最近は観劇を通して季節の変化を感じています。

 

公演まで時間があったときに清荒神(きよしこうじん)清澄寺にお参りにいってみました。ずっと上り坂の参道を15分くらい歩いたのでなかなかハードだったけどよい体験だった。

よく分からないまま境内を歩き回っている図。結構広さがあって立派なお寺でした。 街から離れた山の中にあるので、緑が多くてちょっとした別世界のような雰囲気がありました。たまにはこういうのもいいな……。

 

自然と人のダイアローグ(国立西洋美術館)/芸術×力 ボストン美術館展(東京都美術館

↑の東京公演を観るための旅行だったんだけど、公演中止になってしまったので美術展だけ行くことに。どちらも大満足でした!

「自然と人のダイアローグ」モネやゴッホなど印象派画家の作品を中心に、自然と人の対話というテーマでまとめていた。私はよくない逆張り癖のせいもあって、以前は印象派はそんなに……写実的なほうが……とか思ってたんだけど、今年の頭に読んだ「ジヴェルニーの食卓」かなり認識が変わりました。ジヴェルニーの食卓おすすめです。

テーマの一貫性と展示の構成がすごくよくて、作品と作品の間にある余白や、ところどころに芸術家たちの言葉が添えられているのも良かった。印象派の独特なタッチは形をもたない光や空気、生命のエネルギーみたいなものをキャンバスの上にできるかぎり写し取ろうとしたのかな、ということを感じた。


「芸術×力 ボストン美術館展」芸術は人の心を動かすから、人々は権力を高めるために芸術を利用したり、芸術を保護することによって権力を示したりしてきた。確かにそうだよなーーと思わされる…。古今東西のさまざまな芸術作品について、それを権力者たちがどういう狙いで作らせたのか、あるいはどうして人々の心を掴んだのかという展示内容で、芸術と権力が密接に関わっているという事実があるだけでそれに対して良い・悪いと主張するようなものではない。でも、いつもはなんか綺麗だな~素敵だな~という見方だったところに別の視点から切り込んでいく感覚がめちゃくちゃ面白かったのと、単純に普段はあまり見ることがない地域・時代の作品も見ることができて楽しかったです。

というのが真面目な感想ですが、終盤に展示されていた吉備真備絵巻の絵柄のかわいらしさと内容のトンチキさにいろいろ持っていかれました。吉備真備阿倍仲麻呂(幽霊のすがた)が超能力で無理難題を解決していくバディものとか……!二人して一緒に空を飛んでる絵は面白かわいいし、超能力を使ってすることがテストのカンニング碁石を飲み込んでお腹のなかに留めておくってなんなんだよ!


スタジオライフ「トーマの心臓

トーマの心臓はほんの3年前くらいに読んだばかりなんだけど、今の私の心のバイブルと言ってもいいくらいで……スタジオライフのトーマの心臓が良いって聞いてたので、再演されることがあれば絶対に見たかったんだけど叶ってよかった。

今回は2パターンの役替わりで公演してて、私が観たのは「チームLegend」のバージョンでした。キャスト表を見るとユーリ←→レドヴィはまだ分かるとして、オスカー←→サイフリート役替わりってえげつない……! サイフリートが出てきたとき空気が一瞬で変わってものすごく怖かったんだけど、この方が別のバージョンではオスカーなのかと……正反対に見えてある意味表裏一体の存在でもあるのか……。レドヴィはまさにユーリの鏡のように描かれていて原作からの良いアレンジだった。舞台を通して原作の新解釈を提示されたのがよかったし、ユーリの神経質さ・繊細さと脆さ、エーリクのまっすぐな純粋さが愛おしかった。

舞台上には常に舎監室のベッドがふたつ並んでいたんだけど、カテコで触れられていた「舎監室は聖域だから」という話がものすごく印象に残っています。面白い寄りのエピソードだったけど私はなんか感じ入ってしまった。聖域。

 

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今年は本もある程度読めたんだけど、「ジヴェルニーの食卓」「むらさきのスカートの女」「追想五断章」が特によかったです。こうやって書いてみると好きな作品はだいたいタイトルも好きな感じだ。

そして2023年もしょっぱなから観劇する予定です!やったー!心動くようなことがたくさんある年になるといいな……。

新刊裏話

そのうちブログを書こうと思いつつ、また他にも書きたいテーマがいくつかあったものの更新できずに結構経ってしまいました…。しばらくやらないと文章の書き方を忘れてしまっていて危ない、やっぱり継続しないとだめですね。

新刊(※昨年9月)手にとってくださった方はありがとうございました!裏話というかこんなことを考えて作ってた的なことを備忘録も兼ねて書いていこうと思います。

 

☆タイトル

初恋か天使か入れたい……でもできればシンプルなタイトルがいい……とか結構悩んだのですが、一回浮かんだらこれしか考えられませんでした。もちろん「初恋メモリー」からとっているのと、ふたりのこれまでの歩みとか、収録している絵の内容もそういう感じのものが多いので……そしてこれからもいろんな思い出を積み重ねていってほしいなと……!100万枚撮りのフィルムでも~

 

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☆装丁

表紙:ペルーラスノーホワイト

推しCPのイメージ的にキラキラした紙を使いたい!と思っていて、その中でもしっとり上品なパール感がいいなと。ペルーラ使うぞと決めてから表紙を作ったんですが、色味やデザインはブライダルっぽくしたいなと思ってプロフィールブックを検索しまくって参考にしてました……。

自分で解説してしまうと表紙イラストはあとがきとつながってます。バラを受けとってくれたのは告白とかプロポーズを承諾するというような意味合いなんですけど伝わりますでしょうか……!!雰囲気をなんとなく感じ取ってもらえていたら嬉しいです

 

遊び紙 (巻頭):アートドリープ リズム

印刷所のサイトを眺めているうちにトレぺを使いたくなってしまったんですよね。単価が上がると分かっていながら……。ちょっとヴェールがかかった風なのがロマンチックで、かつポップな模様が入って遊び心もあって楽しそうな感じがね~~推しCP概念ですね!

 

遊び紙 (巻末):ミランダあい

夜空、星空のイメージです。あと表紙との色の組み合わせもいい感じに締まるかなと考えて選んだんですが、実際の仕上がりを見たら予想以上によくて気に入ってます。とにかく紙が良い!キラキラ!

 

☆本文について

ほとんど過去絵の再録で、一枚リメイクのような感じで描き下ろしています。収録順は悩みましたが一部季節順になっているページがあるのはお気づきでしょうか……実際にはそのとき描きたくなった絵を描いているのですが結果的に春夏秋冬コンプリートしてました。

冬の絵、晶が自分のコートをノエルくんに着せています。晶がロングコートを着ていたらめちゃくちゃ格好いい。ちなみにノエルくんはダッフルコートであってほしいです。

春の絵も解釈は自由にしてもらえたらいいのですが、一応私としては晶が手をつなぎたがっているのを察してノエルくんから手をつないだというイメージでした。

練習中や練習後の絵があるのですが、二人ともあらゆる物事の中で優先順位の一番はダンキラで、そういうところですごく波長が合うんじゃないかなと個人的に解釈してます。そのうえで一緒に踊るのがすごく楽しかったり、踊ることを通して対話しているような面があったらいいな……。

 

自分で言うのはおこがましいのですが、一枚の絵から物語や感情が伝わるように描きたいといつも思っていて、相手を愛おしく見つめている目とか、手の表情とかそういうものにこだわりを込めています。2020年ごろからよく絵を描くようになりましたが、それまでは個人的にらくがきをするだけで、コンスタントに絵を仕上げて投稿するということはなかったんですよね。同人誌を出している人をすごいな~と見ていたけどまさか自分で同人誌を作ることになるとは……!

これからも絵を描き続けていきたいです。見てくださる方がいることがとても励みになっています、本当にありがとうございます!

 

 

最近一番好きな曲を最後に載せておきます

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