なにか_a

@matiya_a

2022年よかったもの振り返り

とても久しぶりのブログ更新です。

いろんな感想をツイッターだけで終わらせずにまとまった文章として書きたいな~~という気持ちは常にあるんだけど、実際に書くとなると結構腰が重くて気付いたら年末になっていた……。

ということで2022年を振り返ってよかったもの・印象に残っているものについて書いていきます。この一年はいろんな体験ができて結構充実していたと思う!おもに観劇(大体宝塚)や美術展などです。

 

 

月組今夜、ロマンス劇場で/FULL SWING!」

年明け早々に観劇とその後にもう1回観ることができました。お正月の宝塚大劇場には初めて行ったけどしめ縄や立派な鏡餅が飾られていてめでたかった!

お芝居は映画原作でストーリーが良かったのと、演技がとても丁寧で素晴らしくて心に沁みる作品だった……。こんなに純粋な愛の形があるのだろうか……そして映画づくりという夢を追いかける人々のまっすぐな情熱がいい。2回目見ると冒頭の看護師たちの会話でもう泣けてくる……あと月組見ると芝居が巧いってこういうことかーーとものすごく実感する。下級生までみんなうまいし緻密にバランスよく作り上げられてる感じ。

ショーは大人な雰囲気の上質なジャズショーだった。本筋と関係ないけどプロローグのハイテンポ裏拍手拍子が難しすぎて客席大混乱だったのはちょっとおもしろかったな……

 

花組「元禄バロックロック/The Fascination!」

2月に東京宝塚劇場で観劇。この演目は昨年末にも複数回観劇してるんですけど何度見てもとにかく華やかで楽しくて、芝居ショーどちらもすごく好きだった!

「元禄~」はエンタメとして文句なしに面白い作品で、東京ではさらに仕上がっていてよかった。ちゃらんぽらんな男とミステリアス美女の戯れかと思いきや実は超純情ラブなのがかわいいし、背中預けあうバディ要素もあり、最後はラブラブカップ爆誕ハッピーエンド。シリアス部分にしてもラブ部分にしても、柚香光さんの感情表現は「演じてます」「見せてます」じゃなくて本当に自然な気持ちが滲み出てそうなっちゃってるように見えるのが本当に沼。

ショーは花組100周年記念の上品で華やかなレビュー。衣装も舞台セットもキラキラしていて美しく、綺麗なダンスを堪能できてひたすら眼福だった! 好きな場面多いんだけどあえて挙げるならピアノファンタジィでのバレエベースののびやかな踊りが幸せだったのと、黒燕尾男役群舞の一糸乱れぬ揃いっぷりが凄かった。

東京宝塚劇場のいらすとや

 

花組「TOP HAT」

ここまでずっと観劇しかしてない。梅田芸術劇場で4月に観劇、2日間にわたって観ることができました。軽快なタップダンスと名曲の数々と、すれ違いドタバタラブコメかつ小粋でお洒落なラブストーリー。この「ドタバタラブコメ」の部分が思いのほかドタバタしてて、ストーリーもそんなに内容がないので最初ちょっと困惑したんだけど、深く考えずアメリカンな世界観に身をゆだねて楽しむのが正解だった。

全編通してダンスが散りばめられてるんだけどどれも本当に素敵で! 心のままに軽やかに踊る「No Strings」や、「Cheek to Cheek」の頬と頬を寄せ合う振付とか……難易度の高いダイナミックなリフトもロマンチックに魅せてくれて、ハスキーで甘い歌声も心地よくて夢を見ているようだった……。今でも「heaven, in heaven…」の歌いだしを聞くとはあ~ってなる。休憩時間や終演後に外に出ると全然踊れないのにタップを踏みたくなってしまって自分でもびっくりした。

あと脇キャラたちが特に意味もなくやたら濃かったのがなんか好きだったな。好きな娘役さんがクセつよかわいいメイドさんを演じていてめっちゃ感謝しました。

梅芸の近くの桜がきれいだった

 

メトロポリタン美術館展(新国立美術館)/国立西洋美術館

5月には日帰りで東京の美術館へ。「メトロポリタン美術館展 ―西洋絵画の500年―」確か西洋絵画をざっくり時代順に見るみたいな感じだったかな。それぞれの作品はもちろんいいんだけど、展覧会としてはそんなに面白みがないかも……というのが個人的な感想だった。国立西洋美術館と似たようなラインナップで、あっちの方がより充実してるので……。といってもここでしか見られない作品も多く、私の中では「ピュグマリオンとガラテア」が印象に残っててこれは絶対みんな好きなやつだと思います。

午後に国立西洋美術館の常設展へ。このときは特別展がなかったから空いてたんだけど、常設展だけでも十分すぎるボリュームだし好きな系統の絵画も多くて大満足でした。基本的に写真撮影可なんですが問題あったら消します。

カルロ・ドルチの「悲しみの聖母」はいつ見ても好き。ドルチの絵画は質感がすごくなめらかでふわっとしていて肌の血色感がいい。

ケースの反射がすごくてうまく撮れないんだけど、一対で展示されているディーリック・バウツの「悲しみの聖母」「荊冠のキリスト」は痛みと悲しみのリアルさがすごくていつも見入ってしまう。

 

花組「巡礼の年/Fashionable Empire

6~7月に複数回観劇しました。

「巡礼の年」フランツ・リストの光と影、ショパンら周辺人物との関係をモチーフにしたオリジナル作品。私これめちゃくちゃ好きでした……。人間の普遍的な悩み・苦しみ、世間からの評価と本当の自分とのギャップ、承認欲求や才能へのコンプレックスなどなど刺さりすぎて苦しい。「何のために音楽を?」はそのまんま「何のために人生を?」で、生きるのってしんどいけど、それでも生き続けてさえいたらそのこと自体に価値があるんじゃないかって、善い生き方、正しい生き方ができなくてもそれでいいんだと……。ラストシーンが本当に美しかった。巡る季節のなかでかつて別れた人々が笑いあい、それぞれの人生を生きているささやかな愛の夢。回を重ねるごとにそれぞれの演じ方の解釈も変わり物語の深みが増していて、どの回も本当によかったんだけど配信で見た東京大千秋楽はすべてが綺麗にはまる瞬間が見えて震えた。この作品に出会えたことが今年の価値だなあというくらいに好きです。

作品自体がよかったけど、演じるというのは自分を隠すというよりむしろさらけ出すことで、役を演じれば演じるほどその人の魂の純粋さが透けて見えるようだと思った。オタクの戯言だと思われるかもしれないけど本当にそう見えるんですよ。

「Fashionable Empire」ファッショナブルとは……? どっちかというと元気いっぱい帝国です。でもすごく愛が詰まっていてなんだかんだ愛おしい作品だったなあ。

劇場周辺の紫陽花が綺麗で行くたびに観察してました。最近は観劇を通して季節の変化を感じています。

 

公演まで時間があったときに清荒神(きよしこうじん)清澄寺にお参りにいってみました。ずっと上り坂の参道を15分くらい歩いたのでなかなかハードだったけどよい体験だった。

よく分からないまま境内を歩き回っている図。結構広さがあって立派なお寺でした。 街から離れた山の中にあるので、緑が多くてちょっとした別世界のような雰囲気がありました。たまにはこういうのもいいな……。

 

自然と人のダイアローグ(国立西洋美術館)/芸術×力 ボストン美術館展(東京都美術館

↑の東京公演を観るための旅行だったんだけど、公演中止になってしまったので美術展だけ行くことに。どちらも大満足でした!

「自然と人のダイアローグ」モネやゴッホなど印象派画家の作品を中心に、自然と人の対話というテーマでまとめていた。私はよくない逆張り癖のせいもあって、以前は印象派はそんなに……写実的なほうが……とか思ってたんだけど、今年の頭に読んだ「ジヴェルニーの食卓」かなり認識が変わりました。ジヴェルニーの食卓おすすめです。

テーマの一貫性と展示の構成がすごくよくて、作品と作品の間にある余白や、ところどころに芸術家たちの言葉が添えられているのも良かった。印象派の独特なタッチは形をもたない光や空気、生命のエネルギーみたいなものをキャンバスの上にできるかぎり写し取ろうとしたのかな、ということを感じた。


「芸術×力 ボストン美術館展」芸術は人の心を動かすから、人々は権力を高めるために芸術を利用したり、芸術を保護することによって権力を示したりしてきた。確かにそうだよなーーと思わされる…。古今東西のさまざまな芸術作品について、それを権力者たちがどういう狙いで作らせたのか、あるいはどうして人々の心を掴んだのかという展示内容で、芸術と権力が密接に関わっているという事実があるだけでそれに対して良い・悪いと主張するようなものではない。でも、いつもはなんか綺麗だな~素敵だな~という見方だったところに別の視点から切り込んでいく感覚がめちゃくちゃ面白かったのと、単純に普段はあまり見ることがない地域・時代の作品も見ることができて楽しかったです。

というのが真面目な感想ですが、終盤に展示されていた吉備真備絵巻の絵柄のかわいらしさと内容のトンチキさにいろいろ持っていかれました。吉備真備阿倍仲麻呂(幽霊のすがた)が超能力で無理難題を解決していくバディものとか……!二人して一緒に空を飛んでる絵は面白かわいいし、超能力を使ってすることがテストのカンニング碁石を飲み込んでお腹のなかに留めておくってなんなんだよ!


スタジオライフ「トーマの心臓

トーマの心臓はほんの3年前くらいに読んだばかりなんだけど、今の私の心のバイブルと言ってもいいくらいで……スタジオライフのトーマの心臓が良いって聞いてたので、再演されることがあれば絶対に見たかったんだけど叶ってよかった。

今回は2パターンの役替わりで公演してて、私が観たのは「チームLegend」のバージョンでした。キャスト表を見るとユーリ←→レドヴィはまだ分かるとして、オスカー←→サイフリート役替わりってえげつない……! サイフリートが出てきたとき空気が一瞬で変わってものすごく怖かったんだけど、この方が別のバージョンではオスカーなのかと……正反対に見えてある意味表裏一体の存在でもあるのか……。レドヴィはまさにユーリの鏡のように描かれていて原作からの良いアレンジだった。舞台を通して原作の新解釈を提示されたのがよかったし、ユーリの神経質さ・繊細さと脆さ、エーリクのまっすぐな純粋さが愛おしかった。

舞台上には常に舎監室のベッドがふたつ並んでいたんだけど、カテコで触れられていた「舎監室は聖域だから」という話がものすごく印象に残っています。面白い寄りのエピソードだったけど私はなんか感じ入ってしまった。聖域。

 

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今年は本もある程度読めたんだけど、「ジヴェルニーの食卓」「むらさきのスカートの女」「追想五断章」が特によかったです。こうやって書いてみると好きな作品はだいたいタイトルも好きな感じだ。

そして2023年もしょっぱなから観劇する予定です!やったー!心動くようなことがたくさんある年になるといいな……。